上秋津のことわざと迷信「今日の天気はなっとうないの?」(昨日はブト飛んだし、東風の昼降りと云うさか、昼頃から雨になるで)とか、「ネブカの種に宿かすな、と云うさか種取って、じきに播いたらええんや・・・・・・・・・・・・・・・。」今でも日常の会話に、こんな「ことわざ」がよく出てきます。 世の科学文明がすばらしく進歩する現在にあっても、私たちの祖先が残してくれた「ことわざ」は端的でおぼえ易く、それ相当の根拠があり、的を得ています。 上秋津地方で使われているものについて、老人の皆さんにお聞きしてみました。 当地方特有のものもありますが、全国共通のものが多い様に思いました。 上秋津地方特有と思われるもの ・ 秋津男はゴンボの煮しめ、色は黒いが味は良い。 ・ 秋津男に三栖女。 ・ 秋津男に見すんな女。 ・ 紀州みかんは有田が本場、風味あるのは秋津柑。 ・ 秋津金柑、子供のお菓子、風邪とハシカに良く売れる。 ・ 味の良いのを土産におあげ、秋津富有柿日本一。 ・ ミカン買うたら皮あぐら、金柑買うたら実あぐら。 ・ 秋津のうらに三栖ないら。 ・ ミカンが黄色くなったら医者が青くなる。(ミカンはビタミンCが多く、病気が治る) ・ 竹は六十年に一回花が咲く。 ・ 土用なかばに二葉。(小豆の播き時) ・ カラス鳴きは不吉。 ・ 土喰て虫喰て口、シーブイ。(ツバメの鳴き声) ・ チット喰えチット喰え、モーチット喰え。(コジュケイの鳴き声) ・ ヘクソカズラも花盛り。(匂いの悪いカズラでも花咲く頃は美しい) ・ 雷にヘソ取られる。(低気圧が近づくから薄着していたら腹に悪い) ・ ドクホウジ咲く頃、大根の播き時。(マンジュシャゲ) ・ はよ田植え休み来い、大根播きおそうせ。(昼休みの目安とされた) ・ ウドの大木柱にならん。 ・ お里が知れる。(育ちが分かる) ・ みそにふたする。 ・ ポット鳥鳴いたらカツオが大漁(山バト) ・ 煮ても焼いても食えん人や。 ・ ヒゲ雨降る時、キツネが嫁入りする。 ・ 人事言えばムシロ敷け。 ・ 回りしようね。 ・ 目んとこ玉、とび出る。 ・ かじ屋の明日、こん屋のあさって。 ・ 寝てモチ食たら粉目に入る。 ・ えらけりゃ星っさんの数、かんじょして見いだ。 ・ 花、もたいたれ。 ・ 人のうわさん七十五日。 ・ うそはぬすっ人の始まり。 ・ くそみそ一緒。 ・ 腹にえくり返る。 ・ ヒルに塩。 ・ すいも、からいも、知ったある。 ・ 腹みえすいたある。 ・ 子供の生まれる時は満潮、人が死ぬ時は引き潮の刻に死ぬ。 ・ 青竹でハビをたたくな。 ・ 夜のくもは親の顔に似ていても倒せ、朝のくもは鬼の顔に似ていても殺すな。 ・ 蛇の夢はよい、金が入ってくる。 ・ 牛の夢を見ると、風邪をひく。 ・ 本や新聞をふむとえらくならない。 ・ 敷居とか、マクラをふむと、親の頭をふむのとおなじ。 ・ 子供が火遊びすると、寝小便する。 ・ 夜爪を切ると、親の死に目に間に合わぬと言う。 ・ 草履は朝おろすもの、昼からは炭をぬる。 ・ 蛇に指さすな、指がくさると言う。 ・ 足の親指次の指が長かったら出世する。 ・ 三人で写真をとると、中の人が早く死ぬ。 ・ 朝蜘蛛は福、夜蜘蛛は殺せ。 ・ 幼児がみみずに小便かけると、「チンチン」がはれる。そのみみずを清水で洗ってにがしてやるとなおる。 ・ 北向枕に寝るものでない。便所にはまると名前を変える。 ・ 下駄の鼻緒が切れると、災難がある。 ・ 足がしびれて歩いたら中風になる。 ・ 冬至の火に、かぼちゃを食べると中風にならない。 ・ 洗たく物は夜干すな。 ・ ほうきかつぐと出生できぬ。 ・ 三りんぼうに棟上げするな。 ・ 田植、岸からすると、逆子が生まれると言う。 ・ もち苗、苗代へ植えるな。 ・ 髪の毛を焼くと、七代貧乏する。 ・ 朝のお茶、茶柱が立つと縁起がよい。 ・ 食後すぐ横になると牛になる。 ・ 箸にはさんで物をやりとりしない。 ・ 家に鳥が飛び込むと福、蜂が巣を作ると凶。 ・ う、みそ、寅酒は悪い。(卯、寅の日はこうじ花作ってはいけない) ・ 指のさかむけは、親不幸のしるし。 ・ 男の人に女の赤ちゃん、女の人に男の赤ちゃんの名前を付けてもらうと健康に育つ。 ・ イボを教えるとふえる。 ・ コンニャクは、体の中の悪い砂をとってくれる。 ・ 物を進呈するとき、南天、その他の木の葉をそえる。 ・ 友引に葬式出すな。 ・ 夜口笛を吹くと、魔が集まると言ってきらう。 ・ カゴを頭にかぶると、成長しないと言う。 ・ いたちの道きりを見ると不幸がある。 ・ ねずみのいる家は火難がない。 ・ うなぎと梅干は、食い合わせ腹痛になると言う。 ・ ザクロを屋敷に植えると、親子が離ればなれになる。 農業とことわざ ・ 米は八十八の行をなす。 ・ 親の意見とナスビの花は千に一つのあざがない。 ・ 二月の投げ松。(旧暦の二月頃松の植えかえがよい) ・ 木もと竹うえ。(割る時は木もとから) ・ 米は山から麦は里から。(出来てくる) ・ 桜切るバカ、梅切らぬバカ(梅は剪定すればよい) ・ 苗代半作。(良い苗を作れ) ・ 茶と百姓はしぼればしぼる程出る。(税金) ・ 出穂見て二十日穂を見て二十日。(稲刈 時期) ・ 灰なくして豆播くな。(灰にはKが多い。豆はKが多くいる) ・ ナスビと小豆は友露きらう。(株間を広くせよ) ・ 日なたナスビに陰ショウガ。(植える場所) ・ 余り苗、見ずしてショウガの芽は出ない。 ・ ナタネの花盛りには、絵に画いたニワトリでも卵を生む。 ・ ネブカの種に宿貸すな。(すぐ播け) ・ 三日苗。(稲の苗は取って三日目になると悪い) ・ 雨栗日柿。(花の咲くとき栗は雨水、柿は昆虫によって花粉交配する) ・ 二百十日の別れ水。(水田の水を止める時期) ・ におい松茸、味しめじ。 ・ 畑やせたら豆作れ。(豆は根粒菌あり土を肥やす) ・ 百姓百色。 ・ ホーレン草の種はハオリ着て播け。(涼しくなってから) ・ 桃栗三年柿八年、袖は九年で成り始め。 ・ おうちゃく者の節季働き。 ・ 雪は豊作のしるし。 ・ 雨後のたけのこ。 ・ 冬至十日はバカでも知っている。(正月) ・ 夕焼けにカマ磨け。(明日は晴) 上秋津地方の天気とことわざ ・ 東風の昼降り。 ・ 霜折れ。(朝降りた霜がすぐ解け出す、天気がくずれる) ・ 土用なかばに秋の風。 ・ 八十八夜の名残り霜。 ・ 暑さ寒さも彼岸まで。 ・ 風と坊主は昼の出。 ・ 高尾山の霧が上がれば晴れてくる。 ・ 海鳴が近く聞こえると雨が近い。 ・ 汽笛が近く聞こえると雨が近い。 ・ 夜上り三日。 ・ 梅雨は雷ぎり。 ・ ながせの宵晴れ。(梅雨) ・ 東風・・・・・・雨 北風・・・・・・晴。 ・ 朝焼けは雨、夕焼けは晴。 ・ お月さんが傘さしたら雨近い。 ・ 雪夜かモチ夜か。(モチつく所は暖かい、雪の静かに降る夜は暖かい。) ・ ブトがまじないしんい来たら明日は雨。 ・ 秋の日はつるべ落とし。 ・ 女心と秋の空。 ・ フルツク(フクロウ)鳴いたら日和が続く。 ・ 鳥が水浴びすると日和落ち。 ・ ありが行列すると大雨降る。 ・ 高い山へ雲がかかると雨降らない。 ・ 早朝に小雨降ると、あと降らない。 ・ 夕焼けがすぐ消えると日和が落ちる。 ・ 水焼けは大雨が降る。 ・ 鯉(川魚)が飛びはねると日和落ち。 ・ 南の明るいのと女の賢いのは当てにならん。 ・ 霧が低く下りると天気がつづく。 ・ 朝虹は雨、夕虹は晴。 ・ 雲が上ると雨、出ると日和。 ・ はちの巣が高いと大風がない。低いと大風が吹く。 ・ 卯、辰の雨は巳で止る。 ・ 星がまたたくと雨近い。 地震 四ツ八ツ 日和 五 七 の 雨 六ツ九ツ 国の騒動(大きい) 生活とことわざ ・ ぬすっ人捕まえてナワない。(準備が出来ていない) ・ 始めチョロチョロ中パッパ、赤児なくともふた取るな。(おいしいごはんのたき方) ・ ウリのつるにナズビはならぬ。 ・ カエルの子はカエル。 ・ トンビがタカを生む。 ・ ミカン所に美人多し。 ・ 早起きは三文の徳。 ・ 彼岸過ぎて麦の肥、土用過ぎて稲の肥、二十過ぎての子の意見。(むだであり、むしろ有害である) ・ 人は人中、田は田中。(多くの人に接するのが良い) ・ 秋ナスは嫁に喰わすな。(あくが強い) ・ 娘十八、ばん茶も出花。 ・ *棚からボタモチ。 ・ 縁の下の力持ち。 ・ *猿も木から落ちる。 ・ 三つ子の魂百迄。 ・ ぬれ手で粟つかむ。 ・ 山椒は小粒でもピリリとからい。 ・ 石の上にも三年。 ・ 能あるタカは爪をかくす。 ・ うわさをすれば影。 ・ 身から出たさび。 ・ 知らぬが仏。 ・ *人のふり見て我ふり直せ。 ・ もちはもち屋。 ・ 千の倉より子が宝。 ・ 住めば都。 ・ カエルのツラに水。 ・ 旅は道づれ世は情け。 ・ *はしにも棒にもかからん。 ・ *地獄の道も金しだい。 ・ 油断大敵。 ・ サジを投げる。 ・ 目の上のたんこぶ。 ・ 火のない所に煙は立たん。 ・ 丸い卵でも切よで四角、人も言いよで角が立つ。 ・ 負けるが勝ち。 ・ 真綿で首しめる。 ・ 笛吹けど踊らず。 ・ 転ばぬ先の杖。 ・ 後は野となれ山となれ。 ・ 弘法も筆のあやまり。 ・ 悪銭、身につかず。 ・ 渡る世間に鬼はない。 ・ 旅のはじはかき捨て。 ・ 腹八分目に医者いらず。 ・ 二足のわらじをはく。 ・ 骨折り損のくたびれもうけ。 ・ どん栗の背くらべ。 ・ ちりも積もれば山となる。 ・ *地獄で仏。 ・ やけ石に水。 ・ 播かぬ種は生えん。 ・ 芸は身を助ける。 ・ うそも方べん。 ・ 尾を振る犬はたたかれん。 ・ くさっても鯛。 ・ 薬くそう倍。 ・ 三人よれば文殊の知恵。 ・ 先立つものは金。 ・ 清水の舞台から飛び下りる。 ・ ただほど安いもんはない。 ・ ただほど高いもんはない。 ・ 泣く子と地頭には勝てん。 ・ 楽は苦の種、苦は楽の種。 ・ 損して得取れ。 ・ 鶴の一声。 ・ 猫に小判。 ・ 七転び八起。 ・ 名物にうまいものなし。 ・ けがの功名。 ・ こけてもただでは起きん。 ・ 柚の木へ裸で登るか。 ・ 安物買いの銭失い。 ・ 昔取ったキネヅカ。 ・ 好きこそものの上手なれ。 ・ 舌をまく。 ・ 足が地に着かん。 ・ 白い歯見せんな。 ・ 生馬の目を抜く。 ・ 売りものに花咲かせ。 ・ 足元見られる。 ・ 二足三文。 ・ カンコ鳥なく。(人が集まらない静かな事) ・ 火の車。 ・ 水のあわ。 ・ 油売る。(サボる) ・ お茶をにごす。 ・ *タナからボタモチ。 ・ そが、柳の木の下にドジョウはない。(ぐう然は、何回もない) ・ 飼犬に手をかまれる。 ・ *猿も木から落ちる。 ・ トンビに油あげさらわれた。 ・ 畳の上でケガをする。 ・ 船頭多過ぎて前へ進まん。 ・ かんでくだくような話。 ・ 右と云えば左。 ・ 水をさす。 ・ 横槍入れる。 ・ 横車おす。 ・ 上げ足取る。 ・ ちょうちん持ち。 ・ 理くつとこうやく、どこへでもひっつく。 ・ 立板に水。 ・ いたちごっこ。 ・ 出る杭は打たれる。 ・ 花より実を取れ。 ・ 下駄あずける。 ・ 口は禍のもと。 ・ くちばし黄色い。 ・ 尻馬に乗る。 ・ 口から先に生まれる。 ・ 猫なで声。 ・ 口車に乗る。 ・ 大風呂敷ひろげる。 ・ 手前みそ。 ・ 吐いたつばはのめん。 ・ 下手の長談義。 ・ 話に花咲く。 ・ 歯に衣着せん。 ・ 口八丁、手八丁。 ・ 燃えるに火油そそぐ。 ・ うの目、たかの目。 ・ 犬の遠ぼえ。 ・ 死人に口なし。 ・ 影も形もない。 ・ 泥をはく。 ・ 八方美人。 ・ 目から火が出る。 ・ ぬき足、さし足、しのび足。 ・ 焼石に水。 ・ *人のふりみて我がふりなおせ。 ・ 頭かくして尻かくさず。 ・ 重箱のすみをほじくる。 ・ とりつく島ない。 ・ 人のふんどしで角力とる。 ・ 乗りかかった船。 ・ ひいきのひきたおし。 ・ 天にちばする。 ・ 腹見えすく。 ・ 身から出たさび。 ・ 貧乏くじ引く。 ・ 泣き面にハチ。 ・ 寝た子を起こす。 ・ 大は小をかねる。 ・ 帯に短し、たすきに長し。 ・ *箸にも棒にもかからん。 ・ つむじ曲がり。 ・ 他人のそら似。 ・ 恥の上塗り。 ・ カンニン袋の緒が切れる。 ・ ごうを煮やす。 ・ 腹の中へおさめる。 ・ かんしゃく持ち。 ・ 鳴かず飛ばず。 ・ 三日坊主。 ・ 打てばひびく。 ・ 窮すれば通ずる。 ・ 願ったりかなったり。 ・ 二度ある事は三度ある。 ・ 三拍子そろう。 ・ 朝日の登る勢い。 ・ やせがまん。 ・ 貧乏ひまなし。 ・ つじつま合わす。 ・ 我が田へ水引く。 ・ エビで鯛つる。 ・ のどから手が出る。 ・ *ころんでもただでは起きん。 ・ 金とたんは、たまる程きたない。 ・ 左うちわ。 ・ 馬子にも衣裳。 ・ やせ子の大ぐい。 ・ 食わず嫌い。 ・ かけつけ三ばい。 ・ 同病相あわれむ。 ・ さじ投げた。 ・ 立てばシャクヤク、すわればボタン、歩く姿はユリの花。 ・ 白羽の矢立つ。 ・ 箱入り娘。 ・ 明日は明日の風が吹く。 ・ まくらを高くして寝る。 ・ かゆい所に手がとどく。 ・ 泣いても一生、笑っても一生。 ・ おぼれる者、ワラをもつかむ。 ・ 一寸先はヤミ。 ・ 青菜に塩。 ・ 渡る世間に鬼はない。 ・ 毒にも薬にもならん。 ・ 内弁慶。 ・ 死んで花咲く。 ・ 命あっての物種。 ・ 所変われば品かわる。 ・ 夜道に日はくれん。 ・ 鬼のない間にせんたく。 ・ 枯木も山のにぎわい。 ・ 大水の引いた後みたい。 ・ 来年の事云うたら鬼笑う。 ・ 猫の手もかりたい。 ・ 盆と正月一緒に来たような。 ・ 十年一昔。 ・ 赤子の手ねじる。 ・ はらわたくさったある。 ・ 腹さぐる。 ・ 竹割った様な気性。 ・ 捕らぬ狸の皮算用。 ・ 図にのる。 ・ 釣り落といた魚は大きい。 ・ 頼みの網。 ・ 的をえる。 ・ 知恵熱。 ・ ばち当る。 ・ 痛しかゆし。 ・ 思い立ったが吉日。 ・ 二つに一つ。 ・ カラスの行水。 ・ 虫のしらせ。 ・ 足元の明るい内。 ・ 借って来た猫。 ・ 大船に乗ったよう。 ・ 出ものはれもの所嫌わず。 ・ 立つ鳥、あとをにごさず。 ・ 背に腹変えられん。 ・ 恩を仇でかえす。 ・ かごの鳥。 ・ たで食う虫も好きずき。 ・ ナスと男は黒いがよい。 ・ 月とスッポン。 ・ 似た者夫婦。 ・ 夫婦げんかは犬でも食わん。 ・ 一姫二太郎。 ・ 寝る子は育つ。 ・ 子の親にしてこの子あり。 ・ とんびが鷹を生む。 ・ かわいい子には旅をさせよ。 ・ 親のすねかじり。 ・ 親の七光。 ・ 遠くの親類より近くの他人。 ・ 友は友を呼ぶ。 ・ 同じ穴のむじな。 ・ 仏の顔も三度。 ・ すてる神あれば拾う神あり。 ・ 知らぬが仏。 ・ 神も仏もないものか。 ・ *地獄で仏。 ・ *地獄のさたも金次第。 ・ 地震 雷 火事 おやじ。 ・ 対岸の火事。 ・ 飛んで火に入る夏の虫。 ・ のるかそるか。 ・ 年貢の納め時。 ・ 売り言葉に買い言葉。 ・ しっぺ返し。 ・ 売られたケンカ。 ・ くもの子をちらすよう。 ・ 旗色悪い。 ・ 手に汗にぎる。 ・ まないたの鯉。 * 印は、重複していたり、同じような意味ですが、一応掲載してみました。 まじない 目パチコが出来たら ・ 障子のサンへ、もぐさを置き、それに火をつけ、その煙を目パチコへつける。 ・ つげの木のくしの、後を、たたみでこすり、熱いのを、目パチコへ、つける。 ・ 人の家の窓から、おにぎりを、もらうとよい。 ・ 井戸の中へ、小豆を一粒づつ投げながら「目パチコだと思ったら、豆だった」と三回唱える。 ・ 洋服の前身頃の下の裾のすみを、糸で小さく、くくって「アビラウケン、ソワカ」を三回唱えながら、目パチコへつける。 目にゴミが入ったら ・ 「オン、アビラウケン、ソワカ」を一回唱える舌で上唇を三回なめる。 やけどをしたら ・ コップの中に水を入れて、「山の大蛇が火にくばり、焼けず、ほとらず、きずつかず」と言いながら、その水をつける。 ハチにさされたら ・ 石を拾って、九と書き、さされた箇所に当てる。その石を、もとの所へ返しておく。 かぶれができたら ・ かぶれた箇所を、アブラアゲでふき、そのアゲを焼いて食べる。 のどに魚の骨がささったら ・ ぞうげで、のどぼとけを、上から下へなでる。 ・ 魚の骨を頭にのせる。 ・ 「骨あげます」といってご飯を素のみにするとよい。 ・ 仏様の花立ての水を飲むとよい。 ・ 墨を持って皿に「アビラウンケン」と書き、それを水で洗い落とし祈念して飲むこと。 ・ 尚抜けなかったら、その反対に「ンケンウラビア」と書き前のごとく、祈念して飲むこと。 かん虫 ・ 子供にかん虫が出た時は、手のひらに、三回墨で「馬」と書き、それを消して口で息をかける。 体にできものができたら ・ 刃物を持ち、次の事を唱える。 「ハクシャク」のつるぎをもって、毒薬の病の根を切りて、「オンジリジャー、オン、アビラウンケンソワカ」を三回唱える。 手首が痛くなったら ・ 障子のサンへ、手首を入れ、女の人ならば、男のおち「末の子」の子に、男の人ならば、女のおち「末の子」の子に、白糸でしばってもらうとよい。 流感にかかったら ・ 三辻に線香を立てて、送るとよい。 はしかにかかったら ・ 「子供留守」と書いて戸口に貼る。 ・ エビの皮をせんじて飲む。 百日咳にかかったら ・ 新しいしゃもじに、生年月日を書いて、水引をかけ、井戸につるしておくとよい。 目のわるい時 ・ 目の字を、年令の数だけ書いて、薬師さんに供える。 イボができたら ・ ナスのへたを、こすりつけ、そのへたを、土に埋める。 ・ 地蔵さんの花立水を、イボにつける。それを一週間続ける。 ・ 蜘蛛の巣の糸で、イボを結ぶ。 ・ 釣鐘のイボをわらで片手で結ぶと、とれる。 歯痛止め ・ ヘビのぬけがらを、土に埋めてほうむる。 ・ ヘビのぬけがらを、せんじて飲む。 ・ 葱の種を耳のそばで振るとよい。 ・ 虫是江南虫 郤来喰我歯 釘在椽頭上 永世不還家 上の呪文を紙に書き、七重に折って、その上に虫の字を書いて、便所の北向の柱に釘でうちつけ、「アビラウンケン」を七回唱える。 顔にはたけが出来たら ・ はたけが出来た箇所に墨で田と云う字を書く。 ・ 雨ガエルのお尻を、その箇所につけて、そのカエルをきれいに洗って、元に戻してやる。 赤ちゃんの顔がいびつになったら ・ 親の息をかけて、なでてやると、自然になおってくる。 赤ちゃんに赤あざができたら ・ 親のつばをつけてなでると、自然にとれる。 夜泣き ・ にわとりの絵を書き、布団の下へ、さかさにしておさえて寝る。 ・ 「伸田山の白ギツネさん、昼は泣くとも、夜は泣くな」と紙に書いて、枕の下へおさえて寝る。 ・ にわとりの絵を二匹向かい合わせにして書き、さかさにして、外のくどに張って、拝みます。 ・ 如律令 この文を白紙に書き、小児の左右の手のひらにはること。 車船のよい止め ・ 足の裏に「土」と書き、「オンアビラウンケン、ソワカ」と三回唱える。 ・ へそに梅干を張る。 針を失ったら ・ 「さいじ法師の麻の衣を縫う針はどこへ行ったやら、オン、アビラウンケン、ソワカ」を三回唱える。 糸がもつれたとき ・ 「しやしやむしやの、むしやしやの、しやしやのしやしやむしやの、むしやしや、なければ、しやしやもなし」と三回唱える。「ナムアミダ、ウンケンソワカ」を三回唱える。 はずかしがりを治すには ・ 草履で顔をなでる。 ・ 手のひらに人と書いてのみこむ。 無病息災 ・ ししまいの頭につけた神紙を拾って神棚に、供えるとよい。玄関の上にまつると良い。 女の人の病気を治すには ・ 三月三日のひな祭りの火に丸いよもぎもちを重ねて、加田の淡島さんの方向へおそなえして、それを女の人で分けて食べると病気にならない。 長寿 ・ ひなまつりの日、おひなさまをかざる時に一緒に「わけぎ」を根をつけたままおそなえする。 これは白髪になるまで長生きをすると言う意味。 安産 ・ 子安さんの御詠歌をとなえる時に使ったローソクの小さくなったのをもらっておいて、お産が始まった時にそれをともす。(出来るだけ小さいローソクの方がお産が早くすむ。) しゃっくりがおさまらないとき ・ お茶碗に水を入れ、その上に割りばしを、十文字にし、その四つ角をのむ。 ・ 鼻をつまんで水をのむ。 ・ うしろからびっくりさせる。 ・ 立って後向きになり、足のうらを見る。 ・ 鍋ずみをのむとよい。 きもがえり ・ たわし水をのむとよい へび(はび)に会わぬには ・ 「われ行く先に、かな子、まだらの虫あらば、大和姫にかつやかたらんぞ」と三回唱える。 ・ ヘビの歌「人はこわがる、わしゃ人こわい、巳に生まれて、なさけなや。」 火事にならないには ・ 月見の時の、花水を一升びんに詰めて、保存し、火事になったら、その水をかける。毎年新しい水にとりかえる。 お金持ちになるには ・ 品 右の呪文は、どんなに貧しくても、お金持ちになれる。もし福徳を得ようと思う人は、柳の木の札にこの呪文を書いて、玄関のそばに埋める。それを秘密にしなさい。 うづき病になったら ・ 「アビラウンケン、ソワカ」を唱えながら、患部の上を刃物をぐるぐる廻し最後に息を吹きかける。 手豆ができたとき ・ 水ぶくれになったところへ、硯墨をぬった糸を、針で通すとよい。 今までの中で、「オン、アビラウンケン、ソワカ」がよく使われていますが、そのわけは、大日如来さんの短いお経です。 呪文は、いずれも一息に唱えなければ、ききめがないと云う。他人にこれを教えると、その人の呪文はききめがなくなると云う。秘密にされているものが多い。 |
1984年発行の、『ふるさと上秋津 ー古老は語る−』を、2009年秋津野マルチメディア班がWeb版に復刻いたしました。
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