山上講

 この講は、奈良県の大峰山権現(山上さん)にお参りする目的で作られた。
 この講へは、一度山上さんへお参りして修行をして来なければ入れなかった。また、初めてお参りする人は、服装等は新しい物を着なければ、お参りすることが出来なかったという。しかし、当時すべての新しい着物をそろえるということは、大変であった。そこで古い着物でも、先達(山上さんへ十回以上お参りして修行を積んだ人)に洗濯をしてもらえば、新しい物と同様になると言われ、こぞって先達の人に洗濯をしてもらったと言う。
 その着物を着て、初めて山上さんにお参りをし、「どろ川」で行をし、「西ののぞき」「東ののぞき」と、一応すべての行を成して帰って来て、山上講に入れてくれるようたのみ、初めて議員となれた。
 この講は、毎月議員が少しずつお金を積み立て、一年に一回集まり、今年の山上さん参りの人を決めるくじ引きを行う。当った人は、積み立てたお金で山上さん参りが出来た。ただし、一回当ると、次は外の人達みんなが一回りくじに当たり終わるまで、くじは引けなかった。
 そういう風にして、山上さん参りをした。
 現在こそ、自動車等があり交通の便も発達しているが、昔は、歩いて上秋津より虎ヶ峯を越え、龍神、大熊、奈良県の山上岳まで、すべて歩きで、往復一週間かかったと言う。
 なお、久保田地区の辺谷池の西側の丘の頂上に、「行者さん」がお祀りされているが、これは、山上さんに三十三回以上お参りした方々が、「行者さん」を供養するため、この地に建てたと言われる。
 この「行者さんのお祭り」は、四月八日で、般若心経を唱え、お餅まきをする。




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1984年発行の、『ふるさと上秋津 ー古老は語る−』を、2009年秋津野マルチメディア班がWeb版に復刻いたしました。

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