秋津野未来への挑戦−重点目標は環境保全型・循環型地域の創造など

A重点目標は環境保全型・循環型地域の創造など

 「マスタープラン21 」は、向こう10年間に取り組むべきではないかと考える主要な目標を示している。つまり、21世紀初頭の地域づくりの目標である。それは、地域の未来像、将来の行方を左右する意味をもつ。

 重点目標は、七つである。“見出し”を紹介する。環境保全型・循環型地域の創造、安心・安全な食べ物の供給拠点づくりと農業の総合化の推進、農村的要素と都市的要素の融合した地域の創造、「草の根文化」の創造、「遊びの場」の整備と福祉の充実、訪問者に感動と親切なもてなし(ホスピタリティ)を提供できる地域づくり、地域住民の「協働」の輪の拡大、ほかの地域との交流・連携の強化の七つである。

 大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会が行き詰まりをみせるなかで、環境共生型社会、循環型社会の実現は、いまや時代の要請となっているといってよい。循環型産業である農林業で生活するひとたちが多い上秋津地域は、環境にやさしい農業(エコファーム)の育成や資源のリサイクルをはかり、食料やエネルギーは地域内で自給、また荒廃する里山の保全と活用などに取り組み、環境共生型・循環型地域社会の先駆けとなることが期待される。

 消費者の食にたいする関心は、年々高まっている。安全な食べ物を安心して食べられる社会、本物志向も強い。その一大産地・供給地をめざそうというのが、「マスタープラン21 」の提案である。
 農業の総合化は、生産から加工、流通までをむすびつけ、サービス業や観光の起業によって第六次産業を進めることだ。そこには、あらたな食の産業が生まれる可能性がある。

 都市化が進むこの地域で、そうした目標を実現するには、美しく心やすらぐ田園とその風景が大切にされなくてはならない。土地利用・空間整備は重要な問題だ。住民がみずから中心になった地域管理が求められている。野放図な開発、都市化は防がなくてはならない。住宅建設や土地的施設の建設や土地の利用にあ たっては、今後一定の規制力を持つ「地域協定」を策定する必要性が指摘されている。

 農業・農村が持つ機能・役割は、多岐にわたる。そこはまた、文化が生まれ、育まれるところでもある。地域の歴史や文化に根ざした活動は地域を豊かにする、住民が集い、語り、話し合うところは地域の絆を深める。高齢者や障害がある人が生き生きと暮らせる、そうした地域に整備する必要がある。自然、歴史、文化、そしてひとの心。地域にあるいろいろな資源が生かされている土地は、訪れるひとに感動を与える。

 上秋津のひとたちは、これまで信頼感や連帯感を育んできた。これからの地域づくりもそのうえに築かれるべきだ。ともに汗を流す、「協働」である。地域住民が協力・共同して地域づくりに取り組んでいかなくてはならない、これまで以上に重要になっている点である。

 地域づくりは、ほかの地域との交流・連携が欠かせない。外部の目、外部の声、外部の評価のなかに、自分たちの地域を捉えなおすヒントがたくさんあるからだ。「マスタープラン21 」は重点目標のなかで、会津川流域、川上にある龍神村・秋津川地域、川下にある秋津町、田辺市街地(旧市街)などが流域圏として連携する必要性をあげている。川上と川中、川下、いいかえれば林業・農業・漁業を結びつけた、多様で魅力的な地域をつくることができるはずである。

 重点目標が語る近未来の地域のすがた、地域づくりの目標をキイワードでまとめてみた。「循環型社会」に「環境」と「文化」で地域を再生する。それは「協働」と「連携・交流」のなかから創造される可能性がある。