如来岩の眺望(股覗きの絶景)この大岩は、その真下に見ゆる経塚跡の開墾地に、高雄山千光寺が牟婁や日高の村々を眼下に見くだして繁昌したる頃、万代ゆるぎなき寺の固めとして、如来を祀られたる旧蹟にして、如来の岩と呼び、ここを際目として、上如来、下如来の地名を存し、当山を守護する中宮天狗の留まる地域と言われる。 南北朝時代、愛須左衛門少尉資俊が、この西側、目の前に見ゆる一文字の山、大倉の難所に、城を築かんとしてさえ、天狗の怒りふれたるを聞き伝えたる村人は、たれ一人として、この岩の頭より小便をとばす者はなし。 皆さん、この岩上に立たれた気持は、いかがです。景色はどうですか。 「田辺湾見ゆる 三栖、秋津川の流れの美しきかな」 ぐらいの歌では、東西千里、南方果てしなき太平洋この限界内の美景は、尽くされない。それよりも、いっそ、下手でもかまわぬ、 「広重も筆をなげうつ眺めかな」と、一口にやってのけた方が、妙味はないか。 (雲表 記) |
1984年発行の、『ふるさと上秋津 ー古老は語る−』を、2009年秋津野マルチメディア班がWeb版に復刻いたしました。
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