はじめに

 テレビもラジオもなかったずっと昔、おばあさんやおじいさんのフトンにもぐり込み、生つばをのみ込んで聞いた龍神山の天狗や大蛇の話、キツネやタヌキにばかされた話、田祭り、ミカンの木なぶりを取りに廻った懐しい思い出・・・・・・・・・ 時代の進展と共に昔話はテレビに奪われ、親も子も忙しさに追い廻されて、古老の話に耳を傾ける事は少ない。
 私達をはぐくんでくれた上秋津の里の伝説、民話、四季の行事等、子供達に伝え又次の時代へと受けついで行ってほしいなあとの話になったのは、五十七年の暮の育友会の集まりの席でした。
 編集にはずぶの素人十余名が当りました。少しでも内容あるものにと、仕事のあい間をむって、凍る手に息をふきかけながら古老をたずね、うだる様な夏、カメラ片手に秋津の里をかけ廻りました。
 決して立派なものではないと思います。けれど、色んな話を通じて子供達が秋津の里の山や川、地蔵さんや石碑等にも少しでも興味を持ってくれたらなあ・・・・・・・・ そんな願いを込めて、上秋津の父母と先生が心を一つにして二年余、ささやかな冊子「ふるさと上秋津―古老は語る―」今やっと発行出来ました。
 御協力、御指導下さいました多くの皆さん、本当にありがとうございました。

  昭和五十九年三月 吉日
                            
編集委員会代表  原 和男




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1984年発行の、『ふるさと上秋津 ー古老は語る−』を、2009年秋津野マルチメディア班がWeb版に復刻いたしました。

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