技術は全て日本のノウハウ
芝  智
 先日4月9日からの三日間 中国宜興市張渚に有る梅産地及び無錫三利来食品有限公司と言う梅加工会社の視察に参加して気づいた点、感想を記します。
 まず 中国本土の広大さに目を見張り、壮大な大地に少し圧倒された感じです。
視察した会社は上海から西方約250kmのところに位置し、中国四番目に広い湖 太湖の近くにあります。付近には小さな山はいくつか有るもののほとんどが平地であり 我が上秋津の地形とはかけ離れた状態のところで梅栽培を行っていました。
 道中 桃、麦、菜花等の農作物が見られ、茶畑が広がっていて丁度お茶の収穫風景があり、広い茶畑で摘茶作業をしていましたが 人力での茶摘みであり機械等は目に入りませんでした。ただ園地の条件が良く作業効率が高く思われました。
 周辺の気候は視察日だけでは判断し難いですが ほぼ日本、上秋津と変わらない気候かと思います。当日雨天で有った為農夫等作業風景は見られませんでしたが 割合密植で樹間は約四メートル、少し矮小気味の樹形で樹勢もそんなに旺盛でなく結実も中程度でした。
 ただ、品種的に改良された南高梅であるとの事と、施肥管理等の影響かとも感じましたが 園地を中耕して有機堆肥みたいな臭いがした園地も見受けられます。聞くところによるとこの辺りは干ばつの害が有ったとの事、今年の樹勢、結実状況の原因かもしれません。整枝剪定もそう手を掛けているとは見えない園地が多く見受けられました。
 一方 梅加工場である無錫三利来食品有限公司ですが、当日は社長が出張との事で 応対していただいた二人からは さほど突っ込んだ話は聞かれませんでした。
ブロック造で一部剥がれているタイル貼りの漬け込み槽(概寸法 一辺2m四方・深さ2m)等 加工会社としては敷地面積は広いものの設備等は日本とは比べモノにならないほどで、農家に毛の生えた梅屋さんとの印象でした。
 ただ梅酒、梅肉エキス等の製品を製造しているとの事なので製造過程を見学しないとなんとも言えません。人件費の安い中国なので人海戦術での加工かとも思われますが 技術は全て日本のノウハウなので原料である梅の適期収穫、漬け込み等の加工技術は今後向上するでしょう。また 農家からの買い入れ梅単価が約75円/kgと言うことで 農家としては中国の物価を考えると良い単価です。安いだけで梅干しが売れるので有れば中国産梅は脅威に感じます。
 当日は悪しくも天候が悪く、宿泊先からの距離も遠くてじっくり視察出来なかったのが残念でした。今後 当産地も輸入梅に負けぬ付加価値栽培、加工等の技術等が必要であると実感した視察であったと思います。又今後とも中国の梅産業の情報・実状を把握しつつ 紀南の梅栽培を飛躍させたいと感じました。又数年後に訪れてみたいと思います。



安全な農産物を作り自ら販売する努力を
泉 孝志
去る 4月9日〜11日までの3日間中国の上海に梅の農業研修に行って来ました。 
 これは、今行政で行われている『中山間地域等直接支払交付金制度』の中で上秋津が取り組んでいる 青年を対象とした農業視察研修の一つです。青年(?_?)と言うには、少しばかり年をくっていますが参加資格を頂いたので喜んで行かして頂きました。
 先ず最初に上海空港への着陸の際に広大な土地には驚かされました。見渡す限りの大平野。農業をするには最高に恵まれた条件であります。急傾斜地で果樹農家をしている私にとってはうらやましい限りであります。
 どこまで見ても山一つ見えないのです。改めて中国の大きさを感じる事の出来た瞬間でありました。
 研修2日目の朝7時ホテルよりバスで上海駅に行き列車にて無錫まで行きました。上海に比べかなり田舎に感じました。更にバスで約2時間行った所に【中外合資三利来食品公司】と言う今回の研修の中心である梅加工会社がありました。基本的に中国には梅干を食べる習慣は無くそこで作られている梅干は全て日本への輸出用です。
 味も悪く無く適当に美味しく出来た梅干でした。梅の加工に着手して15年目と言う事ですが、売り先が日本と言う事で残念ながら昨年頃より売上は激減と言う話でした。
 今我々の地域では青梅の手取り単価は大体キロ250〜300円位です。その工場での農家からの買い上げ単価がキロ70円位と言う事だそうですが経済情勢から考えると梅農家の収入は大変良い様な気がしました。その工場では梅白干しの他梅酒・梅エキス等が作られていました。
 工場からの帰り道 車窓の景色は見渡す限り南高畑がつながっているのに少しばかり恐怖や不安を感じたものでした。しかし梅をたくさん植えているのも、白干し梅や梅酒を作っているのも全て日本人の商社等の指導によるものだそうです。日本の農家の外圧による危機も又日本人によるものなのです。
 我々のJA紀南でもたくさんの中国人を招き生産や加工の技術を伝授しています。時代や情勢で仕方無いのかも知れませんが、釈然としないのも実情ではないでしょうか。
 この広大な土地や、莫大な労働力にはとてもたちうちできないでしょう。だからと言ってあきらめるわけにはいきません。私達農家も安全な農産物を作り自ら販売する努力を少しでも考える事が必要でしょう。又中国の経済成長は約7%です。いつまでも安い人件費で勝負することは出来ないでしょう。
 安全で、安心のできる、消費者に喜んでいただける農産物を作る努力をする事が私達にとって大事な事だとおもいます。
 今回この研修に参加する機会を頂いた事に感謝して私のレポートとさせていただきます。


好機到来
野久保 太一郎
 ここ最近 、僕は視察旅行が多いのですが、今回は、梅の視察という事で参加させてもらいました。
 近年 、中国産の梅の輸入が増大しているのは何故か? そして中国産の梅の生産、流通の実体はどういう感じなのか?? この2点が気になる点でした。
 上海の街は、とりあえず大きかったです(笑)。なんて言うんでしょうか?高層ビルに新しいマンション、作りかけの高速道路等々、建設ラッシュの印象を受けました。
 気になる点でいえば、粉塵がすごい事と、交通状態が良くない点でしょうか。この先、もっと経済が発展し自家用車が増えた時、今の道路状況ではどこかで破綻しそうな感じでした(交通マナーの点においても) そんな都会の喧騒の中で視察の目的である、梅の加工場は静かな所でした。中に案内され、色々、話を聞きましたが、やはり中国の梅と言う物は、日本人の要求によって、日本人好みに加工され、ほとんどすべて日本に輸出されているという事でした。
 まぁ ターゲットが日本な訳ですから、当たり前なのですが・・・・・。言い方悪いですけどなんか日本人同士で首を締めあっている感じですね。
 今、和歌山の梅農家は、梅の品質及び経済的にも非常に苦労しています。やはり心の中では 「中国産」がなければ・・・  と思っている方も多数いると思います。
しかし、中国の生産者達も必死なハズです。儲からないのをわざわざ生産する事はないでしょうし、産地同士の戦いなんて、あたりまえなハズです。
 文句だけ言っても、始まりません。今我々農家がこの状況を打開する事を考えねばなりません。危機をひっくりかえせば、好機到来です。
 今なにをすべきか考えて、そして梅の将来を考えていきたいと思います。


経済成長7%実力
木村則夫
WTO加盟の中国の勢いを見せつけられる上海(東)空港に降り立ち、現地のガイドと共に市内へ、経済発展7%という実力を見せつけるかのような、情報インフラ、交通インフラ整備と都市再開発、工事・工事の連続でした。そして人々の熱気と自信を肌で感じさせられました。ほんのわずかな時間の上海市内の観光でしたが、計画経済から離別し、完全自由主義経済に移行したのかと錯覚させられる環境でした。 上海から列車で無錫駅(むしゃく)、そして、マイクロバスで2時間あまり、ようやく加工工場へ、現地の方とガイドの通訳を交えながら40分程度の情報交換。日本のデフレ景気に同調し輸出価格もここ2〜3年下がる一方とのこと。この工場では、梅酒、梅ジュース、エキス、梅干しといった日本の梅加工会社で作られる品物は全てつくられているみたいで、見本もさりげなく並べられていました。情報交換後、お世辞にも衛生的でない加工場を見学させていただきました。
梅干しという事を考えれば、これくらいの衛生状態ででもいいのかも知れませんが、消費者が見れば抵抗はあるかもしれません。
 今回の視察場所は中国の梅の産地では、一番小さな産地で、わずか1000haとい産地で広大な中国農地にあっては、針の先ほどの面積でした。本格的に梅を植えるような施策でも取られれば、あっというまに、今の何百倍、何千倍と産地が一晩で出来上がる事が出来る農地があることは、驚異に感じられました。

 日本では、中国梅の驚異はこれからも続くことは間違いないかと思いますが、「価格」というキーワードだけで、真正面から中国梅を向かえ打つのではなく、安全・環境というキーワードを全面にITを駆使したトレサービリティーシステムの構築で「消費者に本当の品質とは何か」を考えさせる事が出来れば、中国梅の驚異からも逃れられるのではないかと感じさせられた視察でした。